言いたいことを言いたいだけ

アニメ、漫画、ラノベなどの感想をつらつらと語っていきます。昔の作品も取り上げます。

7回目『負けヒロインが多すぎる!(1巻~3巻)』

こんにちは、シオンです。

『勝者』がいれば『敗者』がいる…それが世の常というものです。

一般的な作品で、多くのヒロインは主人公と結ばれる、あるいはいい雰囲気になるといった『勝ちヒロイン』であることが多いです。しかしこの作品『負けヒロインが多すぎる!』では、タイトルの通り結ばれることのなかった『負けヒロイン』が中心となって進行していきます。今まで読んだ作品とは全く方向性が違って、とても面白い作品でしたので、語っていきたいと思います。

 

 

あらすじ

主人公の温水和彦はラノベを愛するボッチ高校生で、クラスの中でも名前を憶えられていないほどだが、それを気にもしていない。ある日、学校から離れた喫茶店ラノベを読んでいると、同じクラスの八奈見杏菜と、その幼馴染の袴田草介が同じ喫茶店で話をしていることに気づく。八奈見は袴田のことがずっと好きだったが、袴田は数か月前に転校してきた姫宮華恋のことが好きだという。八奈見が袴田を後押ししたこともあり、袴田と姫宮は結ばれることになった一方、八奈見は12年思い続けてきた恋が終わりをつげることになる。その一部始終を見ていた温水は、その後の八奈見の奇行も目撃してしまい、そのことが八奈見にもばれてしまう。ここから八奈見をはじめとしたさまざまな負けヒロインとの騒動に巻き込まれることになる。

 

~登場人物~

温水和彦…背景キャラだが、一度関わったことには踏み込んでいくこともある。

八奈見杏菜…負けヒロイン1号。美人だが大食いで残念な性格。食いしん坊万歳。

焼塩檸檬…負けヒロイン2号。こちらも幼馴染を取られる。陸上部の体力お化け。

小鞠知花…負けヒロイン3号。こちらは幼馴染に負ける。超コミュ障。文芸部。

温水佳樹…和彦の妹。中二で生徒会の優等生だが、ブラコン。お兄様大好き。

 

語りたいところ

この作品は、選ばれなかったヒロインのアフターストーリーなんですよね。普通の作品では選ばれたヒロインの話が進んでいくことが多いんですが、当然、選ばれなかったヒロインにもその後の物語があります。どのような心境で結ばれた二人を見ていて、どのように折り合いをつけていくのか、前回語った二番目彼女とはまた別の意味で心に来る場面もあります。例えば、幼馴染をとられた八奈見は、その家族から何かあったと勘繰られ、両家族合同のバーベキュー大会を開かれそうになったり、学校や中学の同級生から噂をされたりと、悲しい思いをしています。

1巻は八奈見、焼塩、小鞠がそれぞれ負けるところと、八奈見の物語、2巻は焼塩、3巻は小鞠の物語となっており、それぞれの心情、どうしようもない思い、それをどう乗り越えていくかが描かれています。基本的に負けヒロインたちのギャグ路線の作品なので(特に八奈見がいい味を出しています)、日常回も楽しく読み進めていくことができますが、シリアスパートでも、関わりたくないのに関わってしまう温水の苦労が見られ、自分だったらどうするかな~なんて考えながら読んでしまいますね。

3人の負けヒロインの誕生を目撃する温水ですが、同じ文芸部に所属することになり、なんだかんだと彼女たちと関わっていくことになります。いつもは一歩引いた場所から彼女たちの物語を眺めていますが、ここぞというときにそれっぽいことを言って、彼女たちを変えていきます。無責任なようで、興味がないようで、意外と言うときは言うのです。こういうキャラは嫌いじゃないですね。むしろ最近の主人公の中ではかなり好きなほうです。

 

推しの魅力

さて、この作品の推しキャラですが、ずばり3人目の負けヒロインの小鞠知花です。小鞠は文芸部の部長が好きなのですが、部長は幼馴染の副部長と非常にいい雰囲気です。小鞠は非常に内気でビビりで、温水と初めて話したときはまともにしゃべることができず、スマホで筆談のようなことをしていました。そんな小鞠が、3人の負けヒロインの中で唯一、負ける前に告白をします。八奈見も焼塩も、手遅れになってから動き始めるのですが、小鞠だけは自分から一歩を踏み出すのです。しかもほかの部員がいる前でです。こんなの応援したくなるじゃないですか。

あと温水との相性もいいと思うんですよね。二人とも友人が少なく、コミュ障で、読書が好き、学校の優れた水道探しという意味不明な趣味まで一致しています。普段はお互いにバカにしあったようなことを言っていますが(特に小鞠から)、小鞠がこんなに話せる相手は少ないでしょうし、温水もときどき小鞠のことを可愛いと言っています。3巻では小鞠が初めて温水に弱みを見せ、満面の笑みも見せたことから、4巻以降でさらに距離が縮まるのではないでしょうか(最後の挿絵も最高でした)。

ただ温水は、ボッチであるがゆえに、恋愛というものにほとんど関りがありませんでした。2巻で、焼塩の幼馴染と付き合っている朝雲千早が、このように話しています(何気に好きなシーンです)。

 

「…温水さんが好きになる人はどんな方なんでしょうね。いつか会ってみたいです」

 

これに対して、温水は付き合うイメージが全く出来ないと感じています。小鞠との近づくことで、少しずつイメージしていってほしいですね。実際、どのヒロインともフラグといえるほどのものは立っていないような感じなので、今後の展開が楽しみです。

まとめ

というわけで、負けヒロインの今後の物語がますます楽しみになってきました。新たな負けヒロインが生まれるのか、それとも温水との新たな物語が生まれるのか(特に小鞠)、目が離せませんね。目が離せないといえば、章の間に温水の妹の佳樹の話が入るのですが、ブラコンである彼女の兄への苦悩と葛藤が見られるので、そちらにも注目していきたいです。

はやく4巻でないかな。アニメ化してもええんやで。

 

おしまい