言いたいことを言いたいだけ

アニメ、漫画、ラノベなどの感想をつらつらと語っていきます。昔の作品も取り上げます。

19回目『現実もたまには嘘をつく(少女アラカルト)』

こんにちは、シオンです。

 ここ最近、リコリス・リコイルのことしか書いていない!と記事を振り返って気づきました。もちろん、まだまだ語りたい作品ではあるのですが、その間にもいろいろな作品を読んだり見たりしているので、久しぶりに違う作品について語りたいと思います。今回の作品はpixivやニコニコ静画などで無料公開されている短編の恋愛漫画で、無料で読めることがあり得ないくらいのクオリティとなっています。

 

 もともと少女アラカルトというタイトルで、1話完結、あるいは数話完結の作品が続いていました。作者は、にいち先生で、YouTubeなどで話題となった『石畳とひまわり』も少女アラカルトの作品の一つとなっています。その中で「ゲーム好きの友達とゲーセンに行く話」という作品を皮切りに(だと思います)これまでにない長編の作品となっています。そしてそれらをまとめて書籍化したのが『現実もたまには嘘をつく』という作品になっているのです。今回は『現実もたまには嘘をつく』のほかに、少女アラカルトの中で僕の好きな作品についていくつか語っていきたいと思います。

 

 

『現実もたまには嘘をつく』

 まずはこの作品です。主人公はオンラインゲーム仲間の寺崎薫(かおる)と逢坂七海の二人となります。オンラインゲームで知り合った二人は、ペテンちゃんというホラーゲームのキャラクターが好きという共通点があることを知り、七海は薫を自宅に招くことになります。しかし薫はオンラインゲームでは女性のアバターを使っており、現実は男であることを知った七海はさあ大変。なぜなら七海の家には「娘に近づく男絶対なぎ倒すマン(おとうさん)」がいるからです。困った二人が出した結論は、なんと薫が女装をすること。七海の両親にバレないように交流を深めながら、徐々に距離が近づいていく、そんな感じの作品ですね。

 七海はとある理由で不登校の引きこもりとなっており、薫とであるまでは両親を除いて心を許せる友人がいませんでした。そのためオンラインゲームをやりこみ、自分の居場所としていましたが、薫と出会ってからの七海は、かなり素を出すことが多くなっていきます。このあたり、なぜ七海は薫に心を許すことになったのか。これはおそらく書籍化された『現実もたまには噓をつく』にしか描かれていない、薫が初めて七海の家に行った日が大きく関わっています。この話は僕も大好きな話ですね。いきなりちょっと泣きそうになったのを覚えています。

 そして幾度となく交流を重ねる二人、なぜ七海が高校に行かなくなったのかを知った薫は、七海にある提案をし、七海は再び学校に行くことになります。その時の七海のお母さんの反応に、さらに泣きそうになりました。

 あと好きなのは、その後の体育祭で親子の二人三脚をすることになるのですが、母親を早くに亡くしており、父親も仕事が忙しく一人になってしまった薫と、七海の母親が一緒に参加する話ですね。走り終わった後の「ここまでいっしょに走ってくれてありがとう」という七海母の言葉、作品を読んできた人にだけ伝わる、めちゃくちゃ感動的な言葉なんですね。これ、初めて読んだときは本当に感動して、このあたりで書籍を購入しようと決意しましたね。七海のお母さんは美人で娘思いで本当に理想的な母親だと思います。「娘に近づく男絶対なぎ倒すマン(おとうさん)」がうらやましい。ちなみに「娘に近づく男絶対なぎ倒すマン(おとうさん)」は、転んだ七海を抱えて、けんけんで二組抜き優勝していました(笑)。

 

 この作品は現在も続いており、いよいよクライマックスか?と思うほどに盛り上がっています。僕はニコニコ静画で読んでいるのですが、更新されているとそれだけでうれしくなる作品なので、今後も楽しみにしたいと思います。

 

8.7 19:00追記

ついに!ついに!

 

『大海直の場合』『真白のあたふた東京駅紀行』『この街で、夢を見る。』

 ここからは初期の短編作品になります。まずはこちら、短編といっても初期では長い方で、3つのタイトルで一つの作品になっています。

 田舎に住んでいる大海直と佐久間真白は大の仲良しで、いつも一緒に遊んでいました。しかし二人が高校に入学する際に、真白は東京の専門学校でデザイナーの勉強をしたいと直に相談します。当然、真白と離れたくない直は反対しますが、それでも行きたい真白、両親にも先生にも親戚にも反対された真白はそれでも行きたいと強い決意を持っています。いつも優しくて、直のわがままをなんでも許してくれた真白の初めてのわがままを聞いた直は、応援するといって真白を送り出します。東京駅についた真白は、広すぎる駅で、無事迷子になるのでした。

 一方、東京で会社員をしている加藤理子は、デザイナーの夢破れて空虚な日々を送っていました。そんな中、駅で困っている真白を見つけ、最初は気にしないようにしていましたが……。

 この作品は、現実の厳しさと夢を忘れないことの大切さを描いたものですね。子供のころの夢をかなえられる人はどのくらいいるのでしょうか。理子のように、現実を知り、あきらめる人がほとんどなのではないでしょうか。それでも理子は真白と出会い、諦められない思いを思い出し、もう一度挑戦する……。王道ですが、それがいい!って感じですね。子供の理子から大人の理子への手紙、そして大人の理子からの返事の手紙が感動的でした。

 そしてこの三人、なんと『現実もたまには嘘をつく』に再登場します(理子はまだ出てきてませんが)。こういった作品同士のつながりがあるのも、面白さの一つですね。三人の夢の結末はどのようになるのか。読んでいない人はぜひ読んでみてください。

 

『石畳とひまわり』

 次はこの作品です。これは1話完結でページ数も非常に短い、というより初期は大体こんな感じなんですが、YouTubeなどでかなり話題になった印象ですね。この作品はネタバレするわけにはいかないので、多くは書きません。ただ、ヒントはよく読めば確かに描かれている、とだけ言っておきます。

 

『75cm、君に溺れる』

 最後はこの作品ですね。これも1話完結で、その後の作品に出てきたりしているわけではないですが、個人的にすごく好きな作品です。

 幼馴染の男の子に、三人目の彼女ができたことを知る柚季は、ファミレスでその男の子のことを茶化します。本当は幼馴染のことが好きな柚季ですが、その気持ちはバレないように隠しつつも、幼馴染である自分だけが知っていることがあると優越感を持っていたり、彼女と同じ髪型を真似たりと、隠しきれない思いが随所にあふれているんですね。一方この男のほうは、まったく気づかない様子で彼氏いるんだろ?なんて聞いてきたりして。この時の柚季がどんな気持ちでいるのかを考えると胸が締めつけられる。好きな男の子が好きになる女の子の髪型を真似るとか…、なんていじらしいんだ……。いつか気づいてほしい、報われてほしいと思ってしまいますね。にいち先生、今からでも続きを描いてもらってもいいんですよ。

 

まとめ

 というわけで、『現実もたまには噓をつく』『少女アラカルト』について語りました。正直ここでは語り切れないほどの作品があり、そのどれもが魅力的という驚異的な作品となっています。また電子書籍購入特典の書下ろし漫画も、とても良きです。値段は千円程度と漫画としては少し高めですが、それに見合うだけの満足感がありますね。むしろ普段無料で楽しませてもらっている分、安いくらいです。非常に面白く、気楽に読める作品なので、今後も楽しみに更新を待ちたいと思います。

 

おしまい